私の故郷は毎年大雪に見舞われ、
女学生達は足元を温かな
ショートムートンブーツで守っている。
私も高校生の時は雪で足元が冷えないようにと
ムートンを履いていた。
皆ただそれだけの為に履いていたので
可愛らしい装飾のムートンは誰一人履いていなかった、
きっと意識としては長靴を履くような感じだったのだろう。
しかし私は皆と違い装飾の施されたムートンを履いていた、
お洒落だと気に入って購入したにも関わらず
皆と違うというだけで恥じらいを覚えた。
そして社会人になり雪も降らない地域へ越したある冬
行き交う人混みの中でふと思った、
どうして雪も降らないのに皆ムートンを履いているのだろうと。
よくよく観察してみると、可愛らしい装飾や
ワンポイントが施された物が多々見受けられた。
(ああ、こっちはお洒落目的でムートンを履くのか)
と少し驚いてしまった。
私の意識としてはショートムートンブーツは防寒の一種でしかなく、
しかし雪の降らない地域の人たちは
ファッションアイテムとして使っている事に気付かされ(私個人の感じ方に過ぎないが)、
それと同時に学生時代装飾が施されたムートンに
恥じらいを感じていた自分を恥じた。
冬の時期に帰省しない為故郷の女学生達が履いているムートンが
今もシンプルな物ばかりなのか、それとも可愛らしい物なのか分からないが…
前者だとするのならば、学生時代の私と同じ様に
恥じらいを感じている子には是非恥じる事無く堂々としていて欲しい。